参加者:CL:網野(3)、SL小林(2)、星川(2)
9/24
2130 片平集合
2300 仙台発
東京に帰省していた網野以外の星川と小林は片平に集合し、装備チェックを行ってから夜行バスで東京に向かう予定であった。しかし実際に装備庫に入ってみると、コンロがないわ、ラジオもないわ、壊れていないテントとフライを探さないといけないわで大慌てであった。無い装備は北アルプス隊がまだ装備を返していないことが原因で、小林の私物で代用することになった。結局準備が終わったのはバス出発15分前で仕方なくタクシーで仙台駅まで向かうことになってしまった。ギリギリ間に合って良かったがあのタクシー代2000円はそのうち北アルプス隊に払わせたいものだ。(星川記)
9/25
天候:雨のち曇り
1130 広河原発
1330 白根御池小屋着幕営準備
1430 偵察開始
1700 偵察終了 帰幕
無事東京で網野と合流し食料調達も済ませ、広河原に着いた頃には雨は本格的に降り始めていた。初日から雨と汗でびしょ濡れになりながら単調な道を登っていく。何気に足を大きく上げさせる場所も多く、ずっとスクワットさせられているかのようで気分は最悪であった。白根御池小屋に着き幕営準備が終わると雨が止み始めてきたので、Bガリー大滝まで偵察しに行くことにした。
雨の中入山
そこそこ登ってきているが一向に目印のハングボルダーが見つからないことにしびれを切らし、携帯のGPSで場所を調べてしまったのはご愛嬌…。ハングボルダーから先は沢登りのような感じで濡れた岩を登ったりちょっと高巻きしたりしていったが、時間的に取り付きまでは行けず引き返した。足場も案外少なく、濡れた岩を下るのは結構難易度が高かった。
目印のハングボルダー
帰幕後は本日のお楽しみチキンカレーナン。バットレスにちなんで買い物のときに胸肉を買っていこうと計画していたのに無視されて少し残念だったがまあ美味しいので良しとしよう。ナンは湿気ってしなしなだったため、火で炙ると食べやすかった。夜は夏用シュラフだとフリースとダウン両方着込んでギリギリの寒さだった。(星川記)
9/26
天候:曇りのち雨
停滞
この日はワンチャンいけるかなどうかなという天気だったが、テントから北岳の方をみると完全にガスに包まれていて登る気力が湧かず、好天がなぜか約束されていた28日を待つこととした。
2度寝したり3度寝したり本を読んだりしていたら弘前大の山岳部もバットレスを登りに来たようでテン場で遭遇した。メンバーの一人は僕と同じく文登研に参加していて班こそ違ったが知り合いだった。聞くところによると僕らとほぼ同じ計画で登るようだった。そんなこともありながら退屈な停滞日を寝て過ごした。夜は雨が降り、テントが軽く浸水。萎える。(小林記)
9/27
天候:雨
停滞
停滞二日目の朝は先日から続く雨でテント内も濡れに濡れていた。マットを持ってこなかった小林はシュラフカバーを付けていても結露でシュラフ内が濡れているし、夏用シュラフの自分は諦めてレインウェアを着て寝ていた。本当に1日中雨が降っていてこの日の記憶はご飯、睡眠、トイレぐらいしかない…。(星川記)
9/28
天候:晴れ
02:00 起床
03:00 発
05:00 Bガリー大滝 下
06:00 登攀開始
08:30 第4尾根 取付き
13:00 登攀終了
13:20 北岳
14:30 白根御池小屋
16:20 広河原 下山
二日間の停滞もあって全く眠くならない。寝ようと頑張って目を瞑るも、眠れない。結局3時間くらいしか眠れなかった。気がつくと起床時刻の午前2時。テントから顔を出すと中秋の名月を終えた月がまだまだまん丸に輝いていた。朝食のラーメンポテトは相変わらずジャンキーな味がする。そういえばソーセージを入れ忘れていた。
今日の目標は山頂に立ちそのまま下山して布団で眠ることだ。意気揚々とテントを出発してBガリー大滝を目指す。慣れない暗中行軍ということもあり、初日に偵察した場所でも似た地形に入ってしまうこともあった。月のエネルギーを正面から受け、進んで行く。取り付きが近くなると月が北岳の後ろに隠れてしまい僕らを照らすものはなくなってしまった。少し進んで振り返ると今度は朝日が僕らを照らし始めた。取り付きには着いたがまだ薄暗くどのルートが正しいかわからない。右往左往しているうちに後ろからきた弘前大に先を越されてしまった。僕らも急いで取り付く準備をする。
下部岩壁の2ピッチはアプローチシューズで十分だ。夏に八ツ峰上半をやっていたので落ちる気はしなかったので2ピッチ目はロープを出さなかった。これによってかなり時間短縮して先頭に追いついた。別に追いかけっこをしたいわけではないが先に人がいるとどうしても追いかけたくなってしまう。2ピッチ目を登りきって少し上るとそこは落石の走路、前にパーティがいることもあってゴロゴロ降ってくる。身の危険を感じ急いで脇にそれる。
下部岩壁1ピッチ目
4尾根の取付きまでがやはりわかりにくい。Cガリーを渡って1ピッチロープを出すと取付きについた。
4尾根前の1ピッチ
ここから先は気持ちよくクライミングを楽しむだけだ。天気もよく富士山も見える。3人パーティということもあり、写真を撮りまくりながら登って行く。あっという間にマッチ箱。懸垂支点にはかなりの残置ロープスが巻かれていた。僕はロープダウンが下手くそだが、完璧なロープダウンを披露してしまった。
マッチ箱到着記念
ここまではフォローだったが、ここからはずっと僕がリードだ。枯れ木テラスの枯れ木は押したら動いたのでここでピッチは切らず、トラバースして城塞ハングの下まで伸ばした。最終ピッチ、核心のこのピッチは他のピッチと比べると苦戦した。体を岩のなかに入れ込みたいが、ザックがそれを邪魔してくる。よくわからない感じで突破した。
核心ピッチ、核心ムーブ
ロープなどを片付け山頂へと歩く、15分ほど歩くと山頂についた。山頂で自撮りをキメて急いで下山する。登りきったらあとは早く帰りたい一心だった。しかし他のメンバーは疲れも出てきていて、僕だけ異様にテンションが高かった。小屋に着くと先にいた弘大から明日のバスが台風で運休が決まったとの情報をもらった。急いで大正解だった。デポしていた装備をかき集め広河原へ下った。
山頂にて(小林、網野、星川)
北岳バットレスはアルパインを始めてからの最初の目標としていた場所だっただけに停滞はしたものの快晴の中でクライミングを楽しめて非常に嬉しかった。次なる目標はまだ決まっていないが、今はひたすら岩になれることと登攀能力を高めることに尽力している。今回の僕らの山行を見てクライミング志向の後輩も増えてきて嬉しいばかりだ。(小林記)
高速下山