道東スキー

September 20, 2019

メンバー:CL荻野(3),SL室田(3),亀岡(2)

 

4/27 白滝天狗岳

天候:小雪

0900 北大雪スキー場跡 入山

1030 1313ピーク

1050 リフトトップ 積雪観察、CT

1150 滑降開始

1200 下山

 

待ちに待った道東スキー一日目。前日の夕方、4限を切って飛行機に乗り憧れの北海道に到着した。夜中のドライブを経て、テントを張るころには雪が舞い始めていた。ついに、一年前から誘ってもらっていた道東スキーが始まる!この日は足慣らしのため、行動時間は短いが季節外れの新雪にワクワクしていた。お天気は微妙だったが、順調に登りあっという間にリフトトップに着いた。明日からの行動も勘案し、登りはここまで。シールを外して少し滑ったところで、積雪観察とコンプレッションテストを練習で行った。いい時間で切り上げ、いよいよ北海道一発目の滑り。昨晩からの雪で結構ふわふわ、みんな楽しんで滑っていた。私もいつもより積極的な滑りができ、荻野さんにもそのことを指摘されたので満足だった。いかんせん滑りが短かったが、一瞬であっても楽しい滑りのために地道に登るのが山スキーの魅力だと思う。明日からのスキーに期待を膨らませつつ、私たちはいよいよ知床に向かった。(亀岡記)

 

 プチパウダー!

 

 

4/28 遠音別岳

天候:快晴

0400 オシンコシンの滝P 起床

0620 林道140m地点 入山

0840 390m付近 シール登高開始

1000 750m付近 

1210 遠音別岳

1245 カール地形 滑降開始

1415 650m付近 

1515 390m付近 シートラーゲン

1640 下山

 

今回の道東スキーツアーの目玉の一つである遠音別岳。山頂北西に広がるカール地形に一目惚れした。整備された登山道はなく、夏期沢登りから藪漕ぎを経て登るか、積雪期に登るかしか、登頂する方法はない。入山者は少なく、記録も少ない。さらに今年は少雪ときている。不安要素は枚挙にいとまが無い。

山スキーヤーの中では少し名の通った山ではあるが、敬遠されがちである。周辺に、羅臼岳や斜里岳、海別岳など有名ルートが目白押しであることが理由だとは思うが、そのアプローチの長さにも要因があるかもしれない。かなり下部の林道から入山し、ひたすら樹林帯を進まなければならない。その点、峠を通る道路でアプローチ可能な羅臼や斜里にはない魅力、すなわち海から頂へと言ったアルピニズムの原点に触れることができる山なのかもしれない。

前日、知床自然センターで積雪状況を確認した。今シーズンは2月の降雪は少なかったが、3月には降雪があり、羅臼岳の残雪状況は例年通りであるが、遠音別岳は情報を持ち合わせていないと助言を得た。鹿よけの鉄柵で閉ざされたゲートを開け、林道で高度を100m強上げる。ここから入山。ほとんど海から離れていない。当然、と言うよりも予想通り雪は全くない。スキーを担いで出発する。エゾアカマツの栽培地を抜け、電線沿いに高度を上げた。P252から尾根に入り、うっそうとした雑木林を進む。390m付近から雪がつながりだしたのでシール登高に切り替えた。森林限界を超えるとハイマツ帯が現れ、かろうじて雪がつながっているところを探して右往左往した。尾根上は、基本的にはシール登高をしたが、ハイマツに遮られ度々スキーを脱いで通過した。山頂直下は、氷の着いたシュカブラで進みづらかったため、再びスキーを担いでキックステップで登った。やや風が強かったものの、ピーカンの下、360度の眺望を独り(三人?)占めする。知床半島の山々、国後島、オホーツクの海岸線。筆舌に尽くしがたい景色が広がっていた。

さて、山行の目標は目の前である。北西に広がるカールを滑るためにここまで来たのだ。登頂が主目的ではない。所々ハイマツが露出していて、期待していた真っ白な斜面ではなかったが、それでも広大なカールは、なおスキーヤーを引きつける魅惑のスロープであった。山頂付近はハイマツが多く露出していたため、カール地形の滑降できる場所まで引き続きシートラーゲンで進んだ。いざ滑降開始。斜度はそれほどない。正面に海を見て、噛みしめるようにターンを切る。楽しいときはあっという間に過ぎてしまう。スキーならなおさらだ。ものの10分程度で楽しい斜面は終わり、あとは駐車地点まで再び修行の行程である。

カール地形の下部から左岸尾根上の登高トレースに向けトラバースしたが、樹木が密で難儀した。登高トレースに復帰し、雪がなくなったところでスキーを担ぐ。既に9時間以上行動していて、スキーの重さが肩にのしかかる。山スキーは刹那的な楽しさであるとはよく言ったものだ。でも、前後の辛いアプローチがあるからこそ、暫時の滑降が無上に楽しいのだろう、と常々思う。たとえ同じ斜面でも、スキー場にあったら楽しさは半減するかもしれない。

入山から10時間20分、下山連絡のリミットを10分超過してようやく車に辿り着いた。少雪でシール登高できない時間が響いた。反省せねばならない。1日を通して楽しく滑っていた時間は30分程度かもしれない。それでも、その30分のための9時間50分を無駄には感じない、満足感のある1日となった。まさに美醜の頂であった。(荻野記)

 

 どこも魅力的な半島の山々

 

04/29 知西別岳 

天候:晴れ 

1030 入山 

1200 羅臼湖 

1245 大沢左岸尾根1050m付近 , CT

1315 滑降開始 

1420 下山 

 

昨夜は色々あったが,今日は遅出なので睡眠はしっかり取れた。車で知床自然センターの前まで行き,知床横断道路の開通を待った。待っている間,警察の方から車を道路の端に寄せてほしいと言われたので寄せようとしていると,目の前に1台の車が早くどいてくれないかなという表情で我々の車を見ていた。やや時間がかかってしまったが端に寄せ終わると,その車は通りすがりに「運転変わった方がいいんじゃないの~」と文句を言ってきた。すかさず車のナンバーを確認してみると仙台ナンバーであった。やっぱりな。だいたいそう。この車運転荒いなあと思ったらだいたい仙台ナンバーだし,そういうのは北海道に来ても通用するんだなあと感じた。気を取り直して,横断道路が開通したので出発。道中車内からはかっこいい羅臼岳がよく見えた。知床峠を少し越えた先にある見返り峠付近の路肩に車を停めて入山。最初からシールを付けて行動した。今日も非常に天気がよく,顔や腕がよく焼ける。滑走予定の大沢は雪が少なく,滑るのにそこまで楽しそうではなかったので,左岸の斜面を滑ることにして登った。1050m付近まで登り,その後念のためコンプレッションテストを行ったのち滑走を開始。最初の一滑りは気持ちよく滑ることができ,3人とも遠望にも分かる豪快なシュプールを刻むことができた。一瞬で気持ちのいい所を滑り終え,あとは平坦な往路を戻って下山した。

下山後は道の駅でお土産を見たりして,その後斜里岳の方に向かった。当初は根北峠で泊まる予定だったが,途中にいいキャンプ場があったので,そこで泊まることにした。荻野プロデュース山行らしい,こじゃれたご飯を食べて明日への英気を養った。(室田記)

 

 

 

豪快なシュプールを刻んだ知西別岳

 

04/30 斜里岳 

天候:晴れ 

0545 根北峠 入山 

0740 パンケニワナイ川820m付近沢床 

0910 1376mコル 

0930 1435mコル 

0950 P1510 スキーデポ 

1005 斜里岳 

1030 スキー回収, CT

1100 滑降開始 

1210 パンケニワナイ川左岸尾根800m付近 

1250 根北峠 下山

 

根北峠の駐車場からシールを付けて出発。しばらくはほぼ平坦な樹林帯を進む。前日の山行までは知床自然センターで借りた熊撃退スプレーを持っていたが,今回はそれがなかったのでヒグマ恐怖症の僕はちょっとビクビクしていた。でも他に入山者も何組かいたので,その不安も途中からは気にならなくなった。この日も天気が非常によく,汗ばむ感じだった。途中から雪で埋まったパンケニワナイ川に入り,沢を詰めていく。両岸からの雪崩が懸念事項だったが,雪面を見る限りその心配はあまりなさそうだった。そうこうしているうちにコルまで出た。コルから山頂手前までは多少藪もあったがそのまま進み,そこにスキーをデポして山頂に向かった。山頂からは360°大パノラマの景色が広がっていた。特に斜里町の方面の平野に広がる巨大な畑は,広大な北海道ならではの景色でとてもいいなあと感じた。ちょっと長めの休憩をとり,記念写真を撮り,出発。スキーデポ地点でコンプレッションテストを行った後,お楽しみの滑走を開始した。やっぱりスキーは下りが最大の楽しみになるので,その点歩きと違って気が楽というか,下るのめんどいなあとか思わないのでいい。滑り出しはやや急斜面で,ちょっとビビってしまったせいで軽く転んでしまった。コルからはパンケニワナイ川を快適に滑降したが,下部は雪が重く,全然滑らなかった。途中から川から外れ,トレース沿いに進み,根北峠まで下山した。あっという間だったけど,最高の景色が見られたし,滑りも楽しかったので十分満足の行く山行だった。(室田記)

 

 

 山頂にて,海別岳バックに

 

総括

 

2019年の大型連休は10連休になるかもしれない。こんなニュースが最初に紙面に踊ったのはいつであったか。2017年末か2018年のはじめであっただろうか。少なくとも2月には、10連休に思いを致し、どこで何をしようか思案していた。天皇の退位日が正式に決定し、祝日法の規定により、退位日の前後も休日となったことで、憲政史上初めての10連休が実現する運びとなった。

さて、4月から5月にかけて長期で休めるとなったら何をしたいか。答えは当然にスキーである。やるべきことは明確だ。はて、どこで滑ろうか。この時期に十分な残雪がある場所は限られる。本州では北東北や出羽の山々、アルプスの山々、富士山くらいである。北海道に目を転じれば、天候による制約は大きいものの魅力的な利尻山や、“北海道の屋根”である大雪山系を筆頭にまだまだ選り取り見取りである。そして、忘れてはいけないのが“地の涯”知床である。

知床には人を引きつける“何か”がある。世界自然遺産であるとか、海の幸がおいしいとか、夕日が美しいとか、そのような単純に言語化できることではないかもしれない。山屋の視点から言えば、3方を海に囲われた細い半島で、海抜0mから一気に1500m程度の稜線へと突き上げる地理的環境は非常に魅力的である。

やるべきことも場所も決まった。残すは5W1Hで言えばHowである。誰と行くかのWhoは部の山スキー人口を考えれば自ずと決まるし、なぜ滑るかなどというwhyは愚問であるからだ。滑りたいから滑る、同語反復になるだけである。

How、どのような滑りをしたいか。単純で複雑な問題である。ツアー、ピークハント、スロープハント…。スティープ系も捨てがたい。まず思いつくのは知床岬への縦走。雪があるからこそできるし、スキーの機動性を活かせば往復、実働5日あれば十分そうだ。まさに3方を海に囲われ、岬へと海に向かって滑り込む。想像するだけでワクワクする。半島の横断、これも捨てがたい。羅臼側で朝日を楽しみ、1日行動してウトロ側で夕日を眺める。なんと風流なことだろうか。ピークハントとしては、夏道のない知床岳や遠音別岳が候補に挙がる。厳冬は環境が厳しすぎるため、残雪期は狙い目だ。スロープとしては、斜度を求めるのなら羅臼岳の南西ルンゼがめぼしい。知床横断道路からアプローチすると、時間的に制約されるが、知床峠から見るルンゼには心躍らせられる。

候補を挙げればきりが無い。10連休のうちの前半5日間という時間的制約の中で、何のプライオリティが高いのか。悩ましいことこの上ない。そして、立案にあたっての大きな障害が発生した。エルニーニョである。暖冬、そして記録的少雪。なんということであろうか。ウトロのアメダスデータを眺めても、今シーズンは1度も積雪が1mを超えていない。そう、東北地方日本海側を除き、ほぼ全国的に異常なまでの少雪であったのだ。不幸中の幸いと言うべきか、厳冬とされる時期が過ぎ、平年なら春の息吹が感じられる3,4月に各地でようやく“冬”が訪れた。山形の蔵王温泉スキー場のシーズン最大積雪深が4月はじめに記録されたことがそれを象徴している。しかし、春は三寒四温。気温変化が激しく、根雪にはなりにくい。不安は募るばかりであった。

そうこうしているうちに春休みも終わりに近づき、そろそろ企画を計画にしなければならない。1年以上恋い焦がれ、待ちに待った大型連休のスキー。今更場所は変更できない。では、どう計画すれば充実した山旅にすることができるのか。やりたいこととできることの比較衡量。難題である。1つの場所に注力すると、そこの雪が十分で無かった場合のリスクが大きすぎる。投資と同じでリスクは分散させなければならない。そうなると、斜面を選ぶか山を選ぶか。

考え抜いた末、大きなカール地形を抱える遠音別岳とピラミダルな山容が特徴的な斜里岳の2山を中心に、アクティブレストとして知西別岳、藻琴山、移動日の有効利用としての北大雪スキー場跡を加えた、道東の5山を巡る計画を練った。計画を立案しCLを務める者は、山への準備、山での安全管理はもちろんのこと、参加者に楽しい計画だったと思ってもらう責務がある、と思う。つまり、CLでありつつ、プロデューサーであり、コーディネーターであり、ツアーコンダクターであり、シェフであらねばならない。一大計画を前に考え事が尽きない日々が続いた。

待ちに待った連休初日はなんと雪!パウダーとまでは行かないが、足慣らしの北大雪スキー場跡を快適に登滑降して、一路知床へ。2日目からはよく晴れて遠音別岳、知西別岳、斜里岳と若干汗ばむ陽気のなか、普段とは趣の異なる贅沢な斜面を堪能した。最終5日目は天気予報が芳しくなく、それまでの行程で皆大満足だったことから、屈斜路湖の眺望目当ての藻琴山は止め、標津で令和最初のご来光を望むため、峠を越えて幕営した。ただ、前日まで微笑んでいたお天道様はついに我々を見放し、最終日にしてずぶ濡れとなって、帰路についた。

結果として、少雪の影響は少なからず受けた。しかし、目的のピークに達し、目的のスロープにシュプールを刻むことができ、大変充実した5日間の山旅とすることができた。部の山スキーの状況を考えれば夢物語に近かった1年前に、漠然とした企画で誘った時から、予備山行を経て道東までスキーをともにしたパーティの両名に、この場を借りて感謝申し上げます。(荻野記)

 

 Schi Heil!!!

 

 

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